Chaos Fear 2100

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zoom RSS 死の騎士8 =END=

<<   作成日時 : 2006/05/26 13:51   >>

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 「全軍、左翼方向に防衛を集中させなさい。
 突撃班からの奇襲が行われます。
 しかし恐れる事はありません。
 我等、神の軍勢には常勝の道しかありませんもの。」

 “未来視”と言う名の“Mind Reading”
 バルゴは防衛班隊員に読心を掛け、展開を掌握している。


 「バルゴ様、伏兵でございます。」
 「問題はないわ。主の御心により、彼等の動きは筒抜けですもの。」
 蒼瞳に躊躇いは無い。


 「まさに狂信者ね…
 大隊長殿、さぁ、皆が作った機を逃す前に。」
 聖瑠歌は勝利を確信した。

 「突撃班、電撃作戦を開始!」
 嘉納護はバルゴの確信とは裏腹に、“右翼”より突撃班は進攻し始めた。


  死徒の軍勢は体制を立て直そうとするが、
 司令塔のバルゴが状況把握に手間取っている。


 「ぇ…主よ…どうしてですか…
 私の信心が足らないと仰るのでしょうか…」

 側面背面を突かれ、死徒の軍勢が瞬く間に削られていく。 
 彼等は決して弱くない。観音寺部隊に比べ、圧倒的に上回っている。
 しかし、指導者に泥酔する狂信者としての顔が、今回は裏目に出た。

 彼女の“未来視”は、あくまでも視界範囲内に対しての読心にすぎず。
 防衛班に仮情報しか流していない以上、情報に混乱が生まれた。
 今回に限っては、誤情報により被害を被るのは死徒の軍勢だけとなる。


 ―――*―――


 ―――所変わって防衛班。
 突撃班突破後とはいえ、激戦が繰り広げられている。
 生き残っているのは小隊長と少数の隊員のみ。
 小隊長も命の灯火が消え行く者もいる。

 死徒槍兵の猛攻に耐え切れず、
 黒羽日和・海原湊は名誉の戦死を遂げた。

 和田義隆は戦中の最中、部隊から逸れてしまい、
 黒羽の戦死を確認したのは、戦闘終了後の事であった。

 
 海原湊に関しては、MPが切れた後も間宮ミカの盾となり、
 彼女の眼前で塵となって消えた。
 その死に顔は驚くほど安らかであったと補足しておこう。

 冷静沈着を心掛けていたミカですら我を失ったが、
 共にキューマルを愛する同士、終夜祭の一喝により、
 我を取り戻す事となる。


 ―――*―――


 ―――将で将を摂る。
 我等が持ち得る駒を最大限に発揮した結果、
 己も駒の一部となり…

 様々な犠牲の下、嘉納はバルゴと対峙した。
 「愚か者が。貴様は心の目に頼り過ぎているのだ。」
 


 「あら、貴方の軍でしたのね…知りませんでしたわ。」
 バルゴは嘉納を睨みつける。

 「私は貴様と語る舌は持たぬ――早々に散るがいい。
 突撃班各位に告ぐ!
 前面の障害を排除せよ!
 隙あらばバルゴ、そしてクローヴィスの剣を狙え!」
 大号令。
 全軍に対し2/3近くの勢力が怒涛の如く押し寄せる。

 
 「「大隊長、ご安心を。
 我等が全力でサポートします。」」
 突撃班隊員でバルゴと対峙できたのは、
 聖瑠歌・田中楽進・坂元立志・空念の四名だ。
 彼等は射撃魔法で剣を狙い、支援魔法を嘉納に掛ける。


 「ああ、ではカタを付ける。
 待たせたな―――偽りの聖女よ。
 オリジナルを見せてやろう。」
 (BGM:なんかすごそうな奴)

 一陣の風が吹く。
 それは世界を変える嵐となる。

 爆風の中から現れるは現代の鬼であった。 


 誰も見た事がない強化装甲。
 何処かフォルムが生体的であり、既存の性能を凌駕していた。

 もし、この場に黒羽がいるならば、
 彼女が誰よりも驚いていた事だろう。
 黒羽は部隊内では最も強化装甲を知る者だった。
 その彼女を持ってしても、初見であるからだ。

 
 ―――*―――


 嘉納は桁違いの火力を聖女に見せ付けた。
 鬼が振るう“漆黒の爪”は空を切り裂き、
 聖女の剣よりも広い間合いを持つ。

 しかし聖女には“未来視”がある。
 嘉納が振るう爪をことごとく回避している。



 嘉納の後方で魔力を貯め続けている男がいた。

 空念―――彼は一つの賭けに出た。
 聖女が鬼に気を取られている隙を見て、
 煙幕手榴弾を聖女の足元に打ち付けた。
 
 今、聖女に対して誰もAEシリーズを打ち込んではいない。
 ならば、“未来視”の対象外である自分が、
 “煙幕手榴弾”を打ち込み、聖女の不意を一瞬でも突けるのであれば、
 自分が出来る最大の拳を打ち込む事が可能だと。


 空念の読みは的中した。
 嘉納と攻防を繰り広げるのが精一杯の聖女は、見事に虚を突かれる形となる。
 その一瞬の隙を突き、空念が聖女の懐に潜り込んだ―――!


 「自分が持ちうる全ての気を使ってやる・・・
 砕け散れ! “爆裂衝球”(Concussion)!!」

 衝撃魔法を飛ばしただけでは命中率が落ちる。
 聖化された保護手甲(フィスト)だけでは火力が心許無い。
 ゾディアックを相手にするには、全力を二つを合わせるしか道は無い。
 爆裂拳は彼が導き出した一つの答えであった。

 「ぇ・・・何時の間に!?」
 間抜けな声が響くが、
 聖女は咄嗟に剣の腹で受け止める。


 「お嬢さん、チェックメイトだよ。」

 空念の口元が緩んだ。
 彼の拳は“最も理想的な部位”に直撃し、
 聖剣から金属音が響き渡る。

 しかし、聖剣に薙ぎ払われるは空念であった。


 直撃を受け―――胴から上が蒸発した。


 皮肉にも、聖剣はその一撃で、根元から砕け散る事となる。


 ―――*―――


 剣が折れた。
 戦略的には大規模魔術発動を防いだ功績だけでも手に余るのだが、
 それ以上の副次的効果が及ぼされた。


 バルゴが手を上げた途端、死徒の軍勢が攻撃を停止し、虚空へと消え去った。

 「全軍、撤退させました。
 ニッポンの皆様、そして、主よ。
 私は幾億の刻を重ねても償い切れない大罪で、
 この手を、身を、心を犯してしまいました。」
 彼女の周囲を黒い炎が包み始める。
 
 「ふふ、真祖…いや、別のゾディアックに監視されていたようですね。」
 苦悶の表情なく、懺悔の声に満ちている。


 「ちょっとまったー!
 お約束を守るなら、何か情報を残していけー!
 それぐらい償いしていってもいいだろー!!」
 探求者・坂元立志が魂の声を叩きつける。
 おまえさん、ぶっちゃげすぎだ。


 「あはは。確かにそうですね。
 何を言えばいいかわかりませんが、
 “12死徒は人間以外もいます”
 私は剣によって分不相応の力を出せていただけですから…」

 炎が聖女を包む。


 それは、遠き過去の日の再来のように。

 炎が完全に消え去った時、
 観音寺部隊の勝利が確定した。


 ―――しかし、鬨の声を挙げる者は、いなかった。

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